Geminiを使わなくなった話。Gemini 3.5 Proの延期という現実

公開日: 2026年7月27日

今までGeminiも使ってきましたが、最近は品質への不満から他社のAIモデルに乗り換えました。実はこの体感には根拠があり、Gemini次期フラッグシップの大幅な延期など、具体的な事実が裏付けています。2026年7月時点のAI業界の現状分析です。

Geminiから、気づけば離れていた

私はこれまでGoogleのAIモデルであるGeminiも使ってきましたが、最近はそのアウトプット品質に物足りなさを感じるようになりました。気づけば他社のAIモデルを使うことがほとんどになり、Geminiからは自然と足が遠のいていました。他のAIサービスとの差も、どんどん開いているように感じています。

この記事では、Geminiに何が起きているのか、そして2026年7月時点でAI業界がどういう状況にあるのかを、現状分析としてまとめます。

Gemini 3.5 Proが、数ヶ月単位で延期し続けている

最大の理由と言えそうなのが、Googleの次期フラッグシップモデル「Gemini 3.5 Pro」の大幅な延期です。

Googleは2026年5月のGoogle I/Oで、Gemini 3.5 Proを6月中に一般提供すると発表していました。しかし7月下旬になった現在も、正式リリースは実現していません。Bloombergの報道によれば、コーディング性能が社内の目標水準に届いておらず、開発が当初の計画から数ヶ月遅れているとされています。この報道を受けて、Alphabetの株価が下落する場面もありました。

現時点で一般提供されているのは、フラッグシップではなく軽量版の「Gemini 3.5 Flash」のみです。つまり、私たちが普段目にしている最新のGeminiは、Googleが本来投入したかった最上位モデルではなく、その一歩手前のモデルということになります。品質に物足りなさを感じていたのも、無理はなかったのかもしれません。

一方でAIの主戦場は「企業向け」へ移っている

Gemini個別の問題に加えて、業界全体の構造も変化しています。近年、AI企業の収益の中心は、一般消費者向けチャットサービスから、企業の開発現場での活用へと移りつつあります。

この企業向け市場では、Anthropicが存在感を強めています。企業向けLLM API市場でのシェアはAnthropicが約4割に達し、特にコーディング分野の支出では4〜5割程度を占めるとされる一方、OpenAIとGoogleはいずれも2割前後にとどまるという報告があります。

一方で、OpenAIは消費者向けChatGPT(週間アクティブユーザー9億人超)で圧倒的な規模を維持するとともに、企業向け市場への投資も積極的に進めています。ただ、現時点では企業向けLLM APIやコーディング分野ではAnthropicの存在感が際立っており、「OpenAIとAnthropicの二強」と一括りにするよりも、消費者向けではOpenAIが圧倒的な規模を持ち、企業向け・コーディング分野ではAnthropicが優位に立っているという見方のほうが、現状に近いようです。

さらに中国モデルが急速にシェアを広げている

もう一つ見過ごせないのが、中国発モデルの台頭です。

開発者向けプラットフォームOpenRouterでは、米国企業による中国製AIモデルの利用比率が2026年に入って週単位で3割を超える状態が続いており、一時は5割近くまで達したとの報告もあります。これは2025年前半の平均が1割に満たなかったことを考えると、非常に急激な変化です。

  • Kimi K3(Moonshot社):公開直後にアクセスが殺到し、計算資源の逼迫を理由に新規登録を一時停止するほどの人気となりました
  • Qwen 3.8(Alibaba):欧米の主要モデルとの性能差を縮めています
  • GLM-5.2(Zhipu AI):開発者向けプラットフォームVercel上で、2026年に追跡された中で最も速いペースで利用が拡大しました
  • DeepSeek:AIスタートアップのLindy社がAnthropicのモデルからDeepSeekへ全面的に切り替え、コスト削減効果を強調しています

価格の安さと性能の高さを武器に、トークン単価の上昇に悩む欧米企業の受け皿になりつつあるようです。

まとめ:Geminiの停滞は「気のせい」ではなかった

改めて整理すると、次のようなことが言えそうです。

  • Geminiのフラッグシップモデルは、社内目標未達を理由に数ヶ月単位で延期が続いており、現在使えるのは軽量版のみ
  • AI業界の主戦場は企業向けに移りつつあり、そこではAnthropicが優勢、OpenAIは消費者向けで規模を維持しつつも苦戦が伝えられている
  • 中国発のオープンウェイトモデルが、価格と性能の両面で急速にシェアを広げている

つまり、「最近Geminiを使わなくなった」という判断には、Google自身のモデル開発の遅れという具体的な事実の裏付けがあった、ということです。AI業界全体が急速に多極化する中、Googleがこの停滞をどう挽回していくのか、次のGemini 3.5 Proの正式リリースが一つの試金石になりそうです。