導入しても活用されないシステム──それを失敗と呼べない組織は変われない
皆さんの会社には、導入したのに十分に活用されていないシステムがあるでしょうか。
グループウェア、業務管理ツール、RPA、AIアシスタント──導入したが、活用できていない、効果が出ていないという話は非常によく聞く課題です。
そのとき、組織はどう判断しているでしょうか。
「まだ活用促進の段階だから、失敗ではない」と考えていないでしょうか。
導入の前提は「使える」「活用される」「効果が出る」だったはず
システムを導入するとき、必ず判断基準があったはずです。
- このツールなら現場が使えるはずだ
- 導入すれば業務が効率化されるはずだ
- 活用されて効果が出るはずだ
これらの前提があったからこそ、予算を使い、時間をかけて導入を決めたのではないでしょうか。
ところが、導入後に現実を見ると:
- 使われていない
- 活用されていない
- 効果が出ていない
この状態は、導入時の前提が崩れているということです。
前提が崩れているなら、それは失敗です
「まだ活用促進の段階に入っていないだけ」という声があります。
しかし考えてみてください。
導入の判断根拠は「使える」「活用される」「効果が出る」という前提でした。
その前提が実現していないなら、それは導入判断そのものが間違っていたということです。
「次のステップ」ではなく、今、失敗している状態です。
失敗とは「確定した結果」ではなく「改善が必要な状態」
ここで重要なのは、失敗の定義です。
失敗とは、プロジェクトが完全に頓挫した「確定した結果」だけを指すわけではありません。
当初の目的を達成できていない状態=改善が必要な状態も、失敗です。
- 導入時の目的:業務効率化、情報共有の促進、意思決定の迅速化
- 現在の状態:使われていない、効果が出ていない
- つまり:目的と現実にギャップがある=失敗している
改善すれば修正できます。しかし、現時点では失敗状態にあることを認める必要があります。
失敗を認めないと、改善が始まらない
「失敗ではない」と考え続けると、何が起きるでしょうか。
改善のきっかけが生まれません。
- 何が問題なのか分析されない
- 誰が責任を持つのか曖昧なまま
- 具体的な改善策が出てこない
活用されていない状態を「まだこれから」と先送りし続ければ、システムは放置され、投資は無駄になります。
失敗を認めることが、改善の第一歩です。
導入はゴールではなく、スタート地点です
システム導入の目的は「ツールを入れること」ではありません。
業務を変えること、組織の動き方を変えることが本来の目的です。
しかし多くの企業では、次のような悪循環が起きています。
- システムを導入したが、現場は従来のやり方を続ける
- 効果が出ないので「現場の問題」と判断する
- 改善されず、システムが放置される
「導入=完了」という考え方が、最も高くつく失敗です。
活用されていない状態を可視化する
システムが活用されているかどうかは、感覚ではなく数値で判断すべきです。
- どの機能が使われていないのか
- 利用率はどれくらいなのか
- 現場からどんな声が上がっているのか
これらを把握せずに「活用促進はこれから」と言っても、何をどう改善すべきかが見えません。
活用されていない現状を認め、原因を分析し、改善策を実行する──このサイクルを回すことが重要です。
失敗を認める勇気が、組織を変える
システムが活用されていないという事実を、どう受け止めるか。
それを「まだこれから」と先送りするのか、「今、失敗している」と認めるのか。
この違いが、組織の成長を左右します。
失敗を認めることは、終わりを意味しません。
改善のスタート地点に立つことを意味します。
皆さんの組織は、その勇気を持っているでしょうか。