導入しても活用されないシステム──それを失敗と呼べない組織は変われない

公開日: 2025年10月29日

システムは「使える」前提で導入したはずです。使われていないなら、それは失敗です。改善が必要な状態を失敗と認めない限り、組織は変われません。

導入しても活用されないシステム──それを失敗と呼べない組織は変われない

皆さんの会社には、導入したのに十分に活用されていないシステムがあるでしょうか。

グループウェア、業務管理ツール、RPA、AIアシスタント──導入したが、活用できていない、効果が出ていないという話は非常によく聞く課題です。

そのとき、組織はどう判断しているでしょうか。

「まだ活用促進の段階だから、失敗ではない」と考えていないでしょうか。


導入の前提は「使える」「活用される」「効果が出る」だったはず

システムを導入するとき、必ず判断基準があったはずです。

  • このツールなら現場が使えるはずだ
  • 導入すれば業務が効率化されるはずだ
  • 活用されて効果が出るはずだ

これらの前提があったからこそ、予算を使い、時間をかけて導入を決めたのではないでしょうか。

ところが、導入後に現実を見ると:

  • 使われていない
  • 活用されていない
  • 効果が出ていない

この状態は、導入時の前提が崩れているということです。


前提が崩れているなら、それは失敗です

「まだ活用促進の段階に入っていないだけ」という声があります。

しかし考えてみてください。

導入の判断根拠は「使える」「活用される」「効果が出る」という前提でした。

その前提が実現していないなら、それは導入判断そのものが間違っていたということです。

「次のステップ」ではなく、今、失敗している状態です。


失敗とは「確定した結果」ではなく「改善が必要な状態」

ここで重要なのは、失敗の定義です。

失敗とは、プロジェクトが完全に頓挫した「確定した結果」だけを指すわけではありません。

当初の目的を達成できていない状態=改善が必要な状態も、失敗です。

  • 導入時の目的:業務効率化、情報共有の促進、意思決定の迅速化
  • 現在の状態:使われていない、効果が出ていない
  • つまり:目的と現実にギャップがある=失敗している

改善すれば修正できます。しかし、現時点では失敗状態にあることを認める必要があります。


失敗を認めないと、改善が始まらない

「失敗ではない」と考え続けると、何が起きるでしょうか。

改善のきっかけが生まれません。

  • 何が問題なのか分析されない
  • 誰が責任を持つのか曖昧なまま
  • 具体的な改善策が出てこない

活用されていない状態を「まだこれから」と先送りし続ければ、システムは放置され、投資は無駄になります。

失敗を認めることが、改善の第一歩です。


導入はゴールではなく、スタート地点です

システム導入の目的は「ツールを入れること」ではありません。

業務を変えること組織の動き方を変えることが本来の目的です。

しかし多くの企業では、次のような悪循環が起きています。

  • システムを導入したが、現場は従来のやり方を続ける
  • 効果が出ないので「現場の問題」と判断する
  • 改善されず、システムが放置される

「導入=完了」という考え方が、最も高くつく失敗です。


活用されていない状態を可視化する

システムが活用されているかどうかは、感覚ではなく数値で判断すべきです。

  • どの機能が使われていないのか
  • 利用率はどれくらいなのか
  • 現場からどんな声が上がっているのか

これらを把握せずに「活用促進はこれから」と言っても、何をどう改善すべきかが見えません。

活用されていない現状を認め、原因を分析し、改善策を実行する──このサイクルを回すことが重要です。


失敗を認める勇気が、組織を変える

システムが活用されていないという事実を、どう受け止めるか。

それを「まだこれから」と先送りするのか、「今、失敗している」と認めるのか。

この違いが、組織の成長を左右します。

失敗を認めることは、終わりを意味しません。

改善のスタート地点に立つことを意味します。

皆さんの組織は、その勇気を持っているでしょうか。