コスト削減は「やめる」だけでいいのか?
企業がコスト削減を目指すとき、多くの場合「何かをやめる」「利用を停止する」ことで支出を減らそうとします。
確かに、サービスやシステムの利用を停止すれば、一見すると費用が減るように思えます。
しかし、ここには重要な落とし穴があります。
「やめる」ことにもコストがかかる
何か新しいサービスや仕組みを導入するときは、導入費用や研修、人件費などのコストがかかります。
これは皆が理解していることです。
ですが、実は物事を「やめる」段階にも同様にコストがかかる場合が多いのです。
サービス停止の手続き、システム対応、関係者への説明や調整など、これらには時間と費用が求められます。
「一歩進んで二歩下がる」とは何か?
ことわざに「一歩進んで二歩下がる」があります。
これは本来、努力して前に進もうとしても逆に後退してしまうという意味です。
今回の文脈ではこう説明できます。
- 「一歩進む」とは、サービスやシステムの導入で効果を上げること(=前進すること)
- 「二歩下がる」とは、当初かけた導入コストに加え、コスト削減のために止める際にも再度コストがかかり、結果として2回分のコストを支払ってしまうこと
言い換えれば、効果を出すために1歩前進しても、やめるためにかかる追加コストによって、実質的には後退してしまうという事態を表しています。
つまり、
「効果を上げる」ことを1歩進むと表現し、
やめるためにかかる二重のコストを「二歩下がる」と表現する
これら2つの意図は異なりますが、この現象が示しているのは、
「導入したサービスやシステムが十分な効果を発揮できていなかった、あるいは運用が定着していなかった可能性がある」ということです。
言い換えれば、コスト削減の対象としてシステムやサービスが真っ先に挙がる場合、
そもそもその導入が限定的だったか、効果実感が薄かったのではないか、という課題も含んでいると言えるでしょう。
本質的なコスト削減に向けて
真のコスト削減とは単に「何かをやめて費用を減らす」ことではありません。
業務そのものを見直し、効率化や生産性の向上を追求することが重要です。
- 現状の業務を正しく理解し、ムダな工程をなくす
- 適切な仕組みやテクノロジーで負担を軽減する
- 「やめる」場合も、短期的な費用だけでなく中長期的な視点で判断する
こうした取り組みがなければ、
「一歩進む」だけの導入コストに加えて、やめる段階のコストもかかり、合計では後退してしまう悪循環から抜け出せません。
まとめ
- コスト削減は「やめる」だけでなく、「どう効率化し価値を高めるか」が重要
- 「一歩進んで二歩下がる」状況とは、導入と停止の両方にかかるコストを指し、これを避ける必要がある
- 創意工夫と中長期的な視点で、持続可能な経営を目指そう
コスト削減に取り組む際はまず、
「やめることにもコストがかかる」という事実をしっかり認識し、
本質的な改善に向けた視野を持つことが不可欠です。