大手AI言語モデルの最新ベンチマーク比較分析

公開日: 2025年1月27日

DeepSeek V3、Claude-3.5、GPT-4o、Qwen2.5、Llama3.1の性能を、英語・コード・数学・中国語の観点から詳細に比較・分析した最新レポート

主要AI言語モデルの最新ベンチマーク比較分析

近年、AI言語モデルの進化は目覚ましく、その性能評価は企業や開発者にとって重要な指標となっています。本記事では、最新の大手AI言語モデル5種(DeepSeek V3、Claude-3.5、GPT-4o、Qwen2.5、Llama3.1)について、様々な角度から詳細な比較分析を行います。

以下の評価結果は、各カテゴリーにおける最高スコアとそれを達成したモデルを示しています。

アーキテクチャの特徴

現代のAI言語モデルは、主に2つのアーキテクチャアプローチに分かれています:

  1. Mixture of Experts (MoE)方式

    • DeepSeek V3とDeepSeek V2.5が採用
    • 特定タスクに特化した専門家モデルの組み合わせにより、効率的な処理を実現
  2. Dense方式

    • Qwen2.5とLlama3.1が採用
    • 従来型の密結合ニューラルネットワーク構造を維持

なお、Claude-3.5とGPT-4oについては、アーキテクチャの詳細は非公開となっています。

英語処理能力の詳細分析

基礎的な英語力評価
- MMLU(多分野の知識を問う英語の多肢選択問題の正答率)
  DeepSeek V3 (88.5%)

- MMLU-Redux(MMLUの簡易版による基礎的な英語理解力の評価)
  DeepSeek V3 (89.1%)

- MMLU-Pro(より高度な専門知識を要する英語問題の正答率)
  Claude-3.5 (78.0%)

高度な言語処理能力
- DROP(読解力と数値的推論能力を組み合わせた総合評価)
  DeepSeek V3 (91.6%)

- IF-Eval(詳細な指示の理解度と実行精度の評価)
  Claude-3.5 (86.5%)

- GPQA-Diamond(高度な専門知識を要する質問応答の正確性)
  Claude-3.5 (65.0%)

実用的なタスク処理
- SimpleQA(基本的な質問応答の正確性評価)
  GPT-4o (38.2%)

- FRAMES(複雑な対話システムの応答精度)
  GPT-4o (80.5%)

- LongBench v2(長文テキストの理解と処理能力の評価)
  DeepSeek V3 (48.7%)

プログラミング能力の評価

コード生成能力
- HumanEval-Mul(複数の関数を含むプログラム生成の正確性)
  DeepSeek V3 (82.6%)

- LiveCodeBench-COT(段階的な思考過程を含むコード生成の評価)
  DeepSeek V3 (40.5%)

- LiveCodeBench(リアルタイムでのコード生成能力の評価)
  DeepSeek V3 (37.6%)

- Codeforces(競技プログラミング形式での問題解決能力)
  DeepSeek V3 (51.6%)

コード編集・管理能力
- SWE Verified(ソフトウェアエンジニアリングタスクの解決率)
  Claude-3.5 (50.8%)

- Aider-Edit(既存コードの編集・修正の正確性)
  Claude-3.5 (84.2%)

- Aider-Polyglot(複数のプログラミング言語に対応した編集能力)
  Claude-3.5 (45.3%)

数学処理能力の評価

数学分野評価
- AIME 2024(アメリカ数学オリンピック中級レベルの問題解決能力)
  DeepSeek V3 (39.2%)

- MATH-500(大学レベルの数学問題500問の正答率)
  DeepSeek V3 (90.2%)

- CNMO 2024(中国数学オリンピックレベルの問題解決能力)
  DeepSeek V3 (43.2%)

中国語処理能力

中国語能力評価
- CLUEWSC(中国語の文脈理解と曖昧性解消能力の評価)
  Qwen2.5 (91.4%)

- C-Eval(中国語の多分野知識を問う多肢選択問題の正答率)
  DeepSeek V3 (86.5%)

- C-SimpleQA(基本的な中国語質問応答の正確性評価)
  DeepSeek V3 (64.1%)

総合評価と結論

各モデルの特徴を総合的に評価すると、以下のような特徴が浮かび上がります:

  1. DeepSeek V3

    • 英語、コード生成、数学分野で総合的に高性能
    • 特に基礎的な言語理解とコード生成で優位性を示す
  2. Claude-3.5

    • コード編集と専門知識分野で突出した性能
    • 指示理解力が特に優れている
  3. GPT-4o

    • 実用的なタスクと対話システムで高い性能
    • 基本的な質問応答で優位性を持つ
  4. Qwen2.5

    • 中国語処理で優れた性能を示す
    • 特にCLUEWSCで最高スコアを記録

このベンチマーク結果は、各モデルが異なる強みを持っていることを示しています。ユースケースに応じて適切なモデルを選択することが、効果的な活用につながるでしょう。